溶接管理技術者経営ブログ

国際ウェルディングショー2022に行ってきた(パナソニック編)

国際ウェルディングショー2022に行ってきた(パナソニック編)


ものづくりだより388号
おはようございます。溶接管理技術者の上村昌也です。

溶接現場では、スパッタの多さ、品質の再現性、作業者による仕上がりの差といった課題がつきまといます。特に半自動溶接では、ワイヤ供給の安定性や溶滴移行が品質に直結します。
今回の国際ウェルディングショーでは、パナソニックコネクトが課題解決を意識した新技術を発表しており、その内容を「悩み → 原因 → 解決策」という視点で整理しながら紹介します。

1. 半自動溶接の代表的な課題

  • スパッタが多く、後処理の手間がかかる
  • ワイヤ供給の変動によりアークが安定しない
  • 作業者によって仕上がりがばらつく
  • 材料・板厚・姿勢により条件調整が難しい

2. 原因:アーク安定性とワイヤ供給の制御が難しい

半自動溶接では、ワイヤの押し出し速度・電流値・アーク長のわずかな変化でビード品質が左右されます。
スパッタが増える場面では、溶滴移行のタイミングと供給速度のズレが原因となることが多く、従来機では制御が難しい領域でした。

3. 解決策:パナソニックが示した「ワイヤを出す・引く」の制御技術

(1)デジタルリモコン付き半自動溶接機「YD-400NE1」

新型のYD-400NE1は、使いやすさを重視したインターフェースとデジタル制御を備え、周辺機器との連携によりネットワーク化も可能になっています。条件の再現性向上と品質管理の効率化が目的とされています。

(2)アクティブ半自動溶接機(参考出品)

今回の展示で最も注目されたのは「アクティブ半自動溶接機」です。
この装置は、ワイヤ供給を単純に押し出すだけでなく、電流値と同期させながらワイヤを出したり引いたりする制御を行います。これにより溶滴移行の安定性が向上し、スパッタの減少が実演でも確認できました。

ただし、アクティブ制御機構を溶接機本体に内蔵するため、トーチケーブルは1mと短く、今後の改善が期待されます。

(3)既存技術との比較視点

同様の発想では、当社でも採用しているフロニウスCMTがあります。CMTは高度な逆転制御を実現していますが、今回のパナソニック機は通常の半自動トーチで類似の動作を可能にした点が特徴的です。制御の難しさや特許領域を考えると、技術としての挑戦は評価できます。

4. 結果:スパッタ低減とアーク安定に期待できる技術

アクティブ制御により、スパッタ低減・溶滴移行の安定化・仕上がりの均一化が期待できます。製品化はまだ先の段階ですが、半自動溶接の課題解決に向けた新しいアプローチとして注目すべき内容でした。

以下は展示の様子です。

▶関連記事(半自動溶接の欠陥原因と改善策)

MAG/MIG溶接の欠陥と改善ポイントを解説

FAQ

Q. アクティブ半自動溶接機はいつ実用化されますか?

現時点では参考出品の段階で、発売時期は未定です。ワイヤ逆転制御の安定化や内部機構の改良が今後進むと見込まれます。

Q. CMTとの違いは何ですか?

CMTは高度なデジタル制御と専用構造を持ちますが、パナソニック機は「通常の半自動トーチで逆転制御を行える点」が大きな特徴です。

免責事項

本記事は展示会で確認できた情報に基づき一般的な解説を行うものであり、機種の性能評価や優劣を断定する意図はありません。設備導入の際は、必ずメーカー資料をご確認ください。

「他社では断られた」「難しいとされている」――
そんな案件ほど、ぜひ当社にお任せください。
現場の課題を一緒に解決していきましょう。

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