【溶接教育の最前線】AR/VR溶接シミュレーターで技能伝承を効率化する方法
ものづくりだより382号
おはようございます。溶接管理技術者の上村昌也です。
溶接分野では、熟練技能者の高齢化が進む一方、若手人材の確保と技能育成が難しくなっています。
「新人の教育に十分な時間が割けない」「作業環境によっては安全に練習させにくい」など、現場が抱える課題は多岐にわたります。
今回の溶接学会誌「No.4」では、こうした課題を解決する手段として、AR/VRを活用した溶接教育が特集されていました。本記事では、その技術内容を実務視点で整理し、課題・原因・解決策・期待できる効果の順に解説します。
1. 現場が抱える課題(Problem)
- 新人教育に工数がかかり、ベテランが本業に集中できない
- 火花・ヒューム・高温環境など、安全確保をしながらの教育が難しい
- 技能評価が指導者の主観に依存し、定量的な測定がしづらい
- 若手が溶接に興味を持つきっかけが乏しい
2. 課題の根本原因(Cause)
- 溶接作業そのものが“結果だけを見ても習熟度が判断しにくい”技能である
- 溶接条件・トーチ角度・アーク長などの可視化が難しく、教育効率が上がりにくい
- 練習スペース・材料コスト・安全対策など、教育環境の準備負担が大きい
3. 解決策:AR/VR溶接シミュレーター(Solution)
溶接学会誌で紹介されていた教育支援技術は大きく分けて次の2方式です。
AR方式(拡張現実)
- 実際の溶接トーチを使用し、専用溶接面でAR映像を重ねて訓練
- トーチ角度・速度・姿勢などをリアルな重量感のまま体得できる
- 実溶接に近い訓練が可能で、熟練者の技能伝承向け
VR方式(仮想現実)
- ヘッドセットとVR専用トーチを使う模擬溶接訓練
- 火花やヒュームが無いため安全で、初心者の導入に最適
- ゲーム性が高く“溶接に興味を持ってもらう”目的に有効
私の見解ですが、教育目的によって最適解は異なります。
・興味喚起 → VR方式
・技能向上 → AR方式
という整理がもっとも実務的です。
4. 当社が実際にVR方式を使用して感じたこと(Result)
VRシミュレーターを実際に使用した経験では、軽量トーチとゲーム的な操作感により、若手が抵抗なく溶接を体験できます。一方で、熟練者の訓練用としては重量感やトーチ剛性が実溶接と異なるため、AR方式の方が適していると判断しています。
将来、教育現場にAR/VRが定着すれば、「安全に・正しく・短時間で」技能向上を実現できる環境が整うでしょう。
これは、「教育・訓練体制の整備」にも有効で、安全性・作業標準化という観点から企業価値向上に寄与します。
▶関連記事(溶接教育・技能向上に関連する技術解説)
よくある質問(FAQ)
Q. ARとVR、どちらが溶接教育に向いていますか?
初心者の興味喚起や安全な導入教育にはVR方式、技能向上や実作業に近い訓練にはAR方式が向いています。
Q. 実機と比較して教育効果はありますか?
基礎技能(角度・速度・姿勢など)の可視化により、短期間で理解を深める効果があります。
実機訓練と併用することで効果が最大化します。
「他社では断られた」「難しいとされている」――
そんな案件ほど、ぜひ当社にお任せください。
現場の課題を一緒に解決していきましょう。
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