【ゼファー1100用アルミ車輪止め】ローラースタンド保管を安定させるA5052自作スタンド
ものづくりだより394号
おはようございます。溶接管理技術者の上村昌也です。
バイクをローラースタンドで保管していると、ちょっとした拍子に前輪が動いてしまい、
「このままでは転倒しないか」「もう少し安心して固定したい」と感じることがあります。
市販の車輪止めもありますが、サイズが合わない・重い・見た目が合わないといったお悩みも少なくありません。
今回は、私自身が所有しているゼファー1100をローラースタンドで保管するために、
A5052とチェッカープレートを使ってアルミ製車輪止めを自作した事例をご紹介します。
原付グロムにも流用できるよう、あえてコンパクトに設計しているのがポイントです。
バイク保管で起きがちな「前輪がズレる問題」
ローラースタンドはメンテナンス性に優れた便利な道具ですが、前輪の保持力はそれほど高くありません。
わずかな勾配や押し戻しでタイヤが動き、ハンドルが切れたり、車体が斜めに傾いたりするリスクがあります。
特に重量のある大型バイクでは、一度傾き始めると支えきれない場合もあります。
そこで、「前輪の位置を決めておき、勝手に転がらないようにしたい」というのが今回の出発点です。
既製品の車輪止めも検討しましたが、設置スペースやデザイン、材料を考えると、
自分の使い方に合うものが少なかったため、溶接屋としてアルミで自作することにしました。
A5052とチェッカープレートで設計した理由
今回使用した材料は、次の2種類です。
- A5052 t3.0(フラット材) … 車輪が乗るベース部分
- A5052 5本線チェッカープレート … 接地面の滑り止めと剛性アップを兼ねたカバー
A5052は耐食性が高く、曲げ加工性にも優れた汎用アルミ材です。
3mm厚を選定することで、前輪の自重を支えるのに十分な剛性を確保しつつ、重量を抑えることができます。
また、チェッカープレートは表面の凸部がグリップとして働き、タイヤと床面の両方で滑りにくくなるメリットがあります。
アルミ車輪止めの製作プロセス
1. タイヤ幅に合わせてベースプレートを切り出す
まず、ゼファー1100の前輪幅を実測し、タイヤより少し広めの寸法でA5052 t3.0のベースプレートを切り出します。
ここで重要なのは、タイヤが左右に落ち込まないように、十分な接地幅を確保することです。
必要であれば、端部を少し立ち上げて「浅いトレー状」にすることで、車輪のガイド効果を高めることもできます。
2. チェッカープレートを溶接して滑り止めを強化
次に、ベースプレートの上に5本線チェッカープレートを溶接します。
チェッカープレート自体に剛性がありますので、補強リブを兼ねる構造として活用できます。
溶接部はビード高さを抑え、タイヤが通過する部分には余計な段差が出ないように仕上げるのがポイントです。
当社ではA5052のTIG溶接を得意としており、歪みを抑えながら均一なビードに仕上げることで、
見た目と機能性の両立を図っています。
DIYで製作される場合は、熱の入れすぎによる反りやねじれに注意してください。
3. 仕上げ・サイズ調整と運用上のポイント
今回の車輪止めは、ゼファー1100だけでなく原付グロムにも使えるよう、あえて小さめのサイズに設計しました。
車種を問わず使える一方で、前輪外径が大きく異なるバイクに流用する場合は、接地位置と安定性を必ず確認してください。
アルミは鉄に比べて比重が軽く、取り回しがしやすいのも利点です。
必要に応じて表面処理や塗装を施すことで、さらに耐久性や見た目を高めることも可能です。
実際に使ってみた結果とメリット
完成したアルミ車輪止めをローラースタンドと組み合わせて使用したところ、
前輪の位置が安定し、バイクが勝手に動く不安が大きく減りました。
- 前輪の転がりを抑えられるので、保管時の転倒リスク低減につながる
- アルミ製のため持ち運びが軽く、収納もしやすい
- チェッカープレートで見た目にもカスタムパーツらしい質感が出る
- 原付にも使えるサイズのため、複数台所有している場合でも流用しやすい
既製品を購入するのも一つの方法ですが、自分の使い方や保管環境に合わせて設計した自作パーツは、
機能面だけでなく所有欲も満たしてくれます。モノづくりの楽しさを改めて感じた一品です。
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製作事例写真

ゼファー1100用に製作したアルミ製車輪止め。A5052とチェッカープレートで軽量かつ高剛性を両立。

側面から見た車輪止め。曲げ加工と溶接構造で前輪の位置決めと転がり防止を両立。

原付グロムでも使用できるサイズ感。ローラースタンドと組み合わせることで保管時の安心感が高まります。
よくある質問(アルミ製車輪止め・バイクDIY編)
Q. ゼファー1100以外のバイクにも、このアルミ車輪止めは使えますか?
はい、原付グロムでも使用できるよう少し小さめの寸法で設計しています。
ただしタイヤ幅・外径が大きく異なる車種では、接地位置や安定性の確認が必要です。
ローラースタンドとの干渉がないかも、あわせてチェックしてください。
Q. アルミ製でも強度や変形の心配はありませんか?
今回はA5052 t3.0とチェッカープレートを組み合わせ、必要な部分は曲げと溶接で補強しています。
用途は「前輪の位置決めと転がり防止」であり、車体全体を持ち上げる構造ではありませんので、通常の保管・メンテナンス用途であれば強度上の問題はありません。
ただし段差乗り上げや衝突など、想定外の過荷重は避けてください。
Q. 同じようなアルミ車輪止めを製作してもらうことはできますか?
はい、寸法や使用場所、対象となるバイクの車種などをお伺いしたうえで、同様のコンセプトで製作することは可能です。
図面やスケッチ、写真があれば検討がスムーズです。
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