トリウム入りタングステン電極は本当に使えるのか?TIG溶接で再評価される理由と安全な使い方【2025年最新版】
ものづくりだより56号
おはようございます。溶接管理技術者の上村昌也です。
今回は、TIG溶接で長く「定番」とされてきたトリウム入りタングステン電極(通称トリタン)について、技術的特徴・安全性・代替電極との比較まで分かりやすく解説します。
【この記事を読むと分かること】
・トリタンのアークが安定する理由
・いつ使うべきか(用途・電流域)
・安全上の注意点と現場での対策
・セリウム入りタングステン電極/ランタンタングステン電極との違い
・「結局どれを選べばいいのか?」の実務判断基準
なぜ今、トリウム入りタングステン電極が再評価されているのか?
トリウム入りタングステン電極は、微量のトリウム酸化物(ThO₂)が含まれており、電子放出性が非常に高い素材です。
この特性により、以下のようなメリットがあります。
- アークスタートが鋭い(高周波始動が安定)
- 高電流域でもアークが暴れにくい
- 電極消耗が少ないため寿命が長い
特に当社のような厚板TIG・高電流(200A超)の現場では、代替電極より安定性が高く、仕上がり精度向上に直結します。
トリウム入りタングステン電極の特性とメリット
- アーク安定性: 電子放出性が高く、アークが細く集中する
- 高電流対応: 直流溶接(DC)で特に安定しやすい
- 寿命が長い: 消耗が遅く、交換頻度が少ない
薄板よりも厚板・高電流のTIG溶接で強みを発揮する電極です。
デメリットと取り扱い注意点(ここが重要)
トリウムは微量ながら放射性物質を含んでいます。
ただし、通常の使用では問題となるレベルではなく、以下の一般的な注意で十分安全に扱えます。
- 研磨時は粉塵を吸わないよう集塵しマスク着用
- 破片や粉をテーブルや床に残さない
- 未使用・廃棄品は密閉袋に入れて管理
当社でも、適切な管理のもと長年運用し、問題なく使用しています。
代替電極:セリウム入りタングステン電極・ランタンの特徴は?
● セリウム入りタングステン(セリウム入りタングステン電極)
- 低電流域のアークスタートに優れる
- 薄板・微細溶接に向く
● ランタナ入りタングステン
- 用途範囲が広く、オールマイティ
- トリタンより安全性が高い
ただし、高電流での安定性はトリタンが最も優秀という評価は今も変わりません。
結局どれを選ぶべきか?(実務での判断基準)
| 用途 | 最適な電極 |
|---|---|
| 薄板ステンレス・微細部品 | セリウム入りタングステン電極 or ランタン |
| 汎用TIG・アルミ含む幅広い用途 | ランタン |
| 高電流域(200A〜)・厚板 | トリタン(1番安定) |
まとめ
- トリタンは高電流で最も安定するタングステン電極
- 代替電極は安全性が高いが、性能はやや劣る場合あり
- 正しい知識+研磨時の粉塵対策で安全に使用可能
よくある質問(FAQ)
Q1. トリタンはまだ使っても問題ないのでしょうか?
はい、適切な研磨管理と粉塵対策を行えば安全に使用できます。特に高電流では代替より性能が勝ります。
Q2. どの電極から選ぶのが正解ですか?
高電流→トリタン、汎用→ランタン、微細溶接→セリウム入りタングステン電極が基本です。
Q3. アークが不安定な原因は電極以外にもありますか?
ガス量・トーチ角度・タングステン先端形状・母材の汚れなど複合要因です。電極はその中の1つにすぎません。
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出てくる放射線がアルファ線だから体内に入らない限り安全なんだよね。
コメント有難うございます。