【完全版】アルミ溶接の欠陥対策まとめ|ブローホール・歪み・予熱処理の実践ポイント
ものづくりだより508号
おはようございます。株式会社上村製作所の上村昌也です。
【はじめに】アルミ・SUS・SS材の溶接欠陥防止策を考えてみました。
溶接欠陥(ピット・ブローホール)対策
工場内の清浄度、溶加棒の管理、接合部の前処理を徹底することで、多くの欠陥は防げます。特にブローホールは以下を徹底:
- 接合部をSUSワイヤーブラシで酸化皮膜を除去
- 接合部をアセトンで洗浄
- 溶加棒は適切な乾燥・密閉保管
- 清潔な手袋を使用して作業
- アルミ専用溶接ブースを設置
- 水素が混入しにくいガスホースを使用
JISアルミニウムハンドブックに基づき、常に技術改善を実施しています。
溶接変形(歪み)への対応
- 溶接前に逆歪み・治具で拘束
- 小さな歪みはプレス矯正
- 大きな歪みは事前拘束必須
- ハンマリングや火炎矯正は外観重視製品に不向き
予熱と層間温度の注意点
- 厚板溶接では予熱が必要な場合もあるが、アルミの場合JISでは原則非推奨。行う場合は250℃以下、予備試験が必要
- 層間温度も低く保つのが原則(常温〜250℃目安)
アルミニウム合金TIG溶接の基礎:高品質溶接を実現する5つの重要ポイント
1. 材料の理解と適切な溶接材料の選定
アルミニウム合金の種類や特性を正しく理解し、適切な溶接材料を選定することが重要です。材料の識別を確実に行い、誤った溶接材料を使用しないように注意しましょう。
2. 材料の清浄と乾燥
溶接前に材料を清浄にし、乾燥した状態に保つことが重要です。材料表面の油分や水分、酸化皮膜などは、溶接不良の原因となります。
3. 溶接材料の適切な保管
溶接材料は、適切に保管されたものを使用しましょう。湿気や汚れが付着した溶接材料は、溶接不良の原因となります。
4. シールドガスの管理
シールドガスが適切に供給されるように注意しましょう。シールドガスは、溶融金属を大気中の酸素や窒素から保護する役割を果たします。シールドガスが不足すると、溶接部に酸化物や気孔が発生し、溶接品質が低下します。
5. 母材の継手部の洗浄
溶接前に母材の継手部分を洗浄することも重要です。ステンレス製ブラシで表面の酸化皮膜を丁寧に除去し、アセトンやアルコールで拭き取ることで、より良好な溶接品質を得られます。
良好な溶接品質のために
上記の点を守り、作業環境を清潔に保ち、丁寧に溶接を行うことで、良好な溶接結果が得られるはずです。
アルミ溶接のブローホール対策
梅雨時期など湿度が高い日はアルミ溶接のブローホールが発生しやすくなります。湿度が85%を超えると要注意です。工場内の温湿度管理とともに、以下の対策が重要です。
ブローホール対策のポイント
水素の混入を減らすことが最も重要です。
- 【シールドガスホースの水分除去】:溶接前にガスを流して内部の水分を排出
- 【材料の予熱】:加熱により材料中の水素を除去
- 【湿度管理】:作業環境の湿度を一定以下に保つ
あるセミナーで紹介された実測値によると、調整器で15mg/m3だったガスが、ゴムホースを経るとトーチ出口で120mg/m3にまで上昇する事例も報告されていました。露点が高くなると欠陥が起きやすいという実測データからも、湿度の影響は非常に大きいとされています。
これらの対策を徹底することで、ブローホールの発生は大幅に減らすことが可能です。学会等でも同様の内容が論文で報告されており、現場実務でも有効性が確認されています。
よくある質問(FAQ)
Q1. アルミ溶接でブローホールが多発する原因は?
最も多い原因は水素の混入です。材料表面の水分やガスホース内部の湿気、清浄不足が起因します。
Q2. 湿度が高い日はどうすればいい?
梅雨時期など湿度85%以上になる日は、工場内の除湿・材料予熱・シールドガスの通気で湿気除去を徹底してください。
Q3. TIG溶接時の母材処理は何が必要?
ワイヤーブラシで酸化皮膜を除去後、アセトンやアルコールで脱脂清掃を行ってください。
Q4. 歪みを完全に防ぐ方法はありますか?
完全には困難ですが、治具拘束や逆歪みの設計である程度コントロール可能です。火炎矯正は注意が必要です。
「他社では断られた」「難しいとされている」――
そんな案件ほど、ぜひ当社にお任せください。
現場の課題を一緒に解決していきましょう。
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