【A6061曲げ加工】クラック防止の技術と成功事例|上村製作所
ものづくりだより507号
おはようございます。株式会社上村製作所の上村昌也です。
今回は、A6061 T6という高強度アルミ合金の曲げ加工について、
板厚2mmと4〜5mmの実際の事例をまとめてご紹介します。
【A6061 T6とは?特徴と加工の難しさ】
A6061 T6は軽量かつ高強度な6000系アルミ合金で、航空機器や自動車部品などに使われます。
耐食性も優れる一方、強度が高いため曲げ加工ではひび割れや精度低下が起こりやすいのが特徴です。
そのため、板厚ごとの最適条件と熟練技術が不可欠です。
今回はお客様からの問題解決をどの様にして解決していったかを順を追って解説していきます。
【板厚2mm 薄板曲げ加工の失敗事例と成功事例】
A6061 T6薄板の曲げクラック事例。条件が適切でないと端部から微細クラックが連鎖的に発生します。
A6061 T6板厚2mmの曲げ加工。独自ノウハウでクラック発生を防止し、高精度な仕上がりを実現。
お客様の課題
- 薄板2mmで軽量化と強度を両立したい
- 地元業者では「対応不可」と断られた(クラックが入るから曲げれない)
- 寸法精度±0.3mmの保証が必要
- 外観品質(半導体部品レベル)の維持
当社の解決策
- 遠方対応:CADデータ+試作サンプルを迅速送付
- 専用金型を流用してクラックゼロの曲げ加工を実現
- 板厚2mm専用の曲げ条件を最適化
- 表面保護フィルム+工程管理で美しい外観を確保
成果
- 寸法精度±0.3mmを達成
- 外観不良ゼロで納品
- 「他社でできなかった加工を実現」と高評価
【板厚4〜5mm 曲げ失敗事例と成功事例】
今回の試験では、長さ300mm、板厚4mmのA6061T-6材を用い、内R5と内R6で曲げ加工を
行いました。 結果は、内R5ではクラックが数カ所発生しましたが、内R6ではクラックなく
健全な曲げ加工ができました。
JISアルミニウムハンドブックでは、板厚3.2mmで2.5×t(板厚)、4.8mmで3tが推奨されており、4mmの場合は中間の2.8t、すなわちR11.2が目安となります。
しかし、実際にはR11.2のような大きなRを使用すると、下型ダイ幅も大きくなり、
立ち上がり寸法が短い場合には曲げ加工ができない場合があります。 そのため、ギリギリのところを狙って曲げ工程を行う必要があります。
A6061-T6 4mmの板曲げです。条件が合わないと簡単にクラックが入ります。
A6061T6曲げの条件はかなり厳しい
板厚5mmの曲げ加工。独自ノウハウでひび割れを未然に防止。
特徴と難しさ
板厚が増すと強度がさらに高まり、曲げ加工ではクラックリスクが顕著になります。
条件設定を誤ると材料ロスや品質不良につながります。
当社の強み
- 航空機器部品で培ったノウハウによる曲げ条件最適化
- 板厚5mmまでの曲げ加工実績多数(板厚4mmは2000mmまでの曲げ実績あり)
- **「曲げ加工だけでなく、TIG溶接も一貫して対応可能です。A6061溶接の詳しい解説はこちら」**
【まとめ】A6061 T6曲げ加工のポイント
A6061 T6は強度が高く、板厚に応じた条件設定が欠かせない難加工材です。今回の試験では、内R6で曲げることでクラックの発生を回避できましたが、これは一例に過ぎません。
実際の曲げ加工では、板厚・曲げR・ロール目などを総合的に考慮し、最適な条件を設定する必要があります。
上村製作所では、板厚2mmの薄板から5mmの厚板まで、クラック防止と高精度を両立する曲げ加工技術を確立しています。
「他社で断られた」難しい案件も、ぜひご相談ください。
A6061 T6の曲げ加工・溶接、板厚2mm〜5mmの精密加工に対応!
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