溶接管理技術者経営ブログ

チタン薄物板金の溶接加工依頼|千葉の製造装置メーカー様と5年継続の理由

チタン薄物板金の溶接加工依頼|千葉の製造装置メーカー様と5年継続の理由

ものづくりだより526号
おはようございます。京都の溶接管理技術者、上村昌也です。

「チタンの薄物板金、どこに頼めばいいのか分からない」
「見積以前に、そもそも断られた」
製造装置メーカー様から、こうしたご相談は珍しくありません。

チタンは軽くて強く、耐食性も高い反面、薄物の溶接は条件が崩れると一気に不良が出るため、外注先が限られやすい材料です。
本記事では、千葉の製造装置メーカー様からのご依頼が初回から5年間、年数回ペースで継続している背景を、現場目線で整理してお伝えいたします。



チタン薄物板金溶接が「断られやすい」理由

結論から申し上げますと、チタン薄物は“溶接そのもの”よりも、前後工程の管理難易度が高い案件です。
条件が少しでも崩れると、歪み・外観不良・欠陥につながりやすく、「やりたくない」「責任を持てない」と判断されることが増えます。

断られやすい主因は3つです

  • 熱の入り方がシビア:薄いほど入熱過多で歪み・焼け・変形が出やすいです
  • 表面汚染に弱い:油分・指紋・酸化皮膜などが不良(ブローホール、脆化)の誘因になります
  • 条件再現が難しい:治具、段取り、溶接順序、搬送・保管まで含めて再現性が要ります

したがって「溶接できる」だけでは不十分で、品質を“安定”させる仕組みがないと継続案件になりません。


初めてのご依頼|「距離」と「小ロット」でも成立した理由

5年前のある日、千葉の製造装置メーカー様からお電話をいただきました。
第一声は、今でも印象に残っています。

「チタンの薄物板金を溶接できるところを探しているんです」

距離は千葉—京都。数量も多くはありません。
それでも成立したのは、加工可否の判断と品質の着地点を、最初に言語化できたからです。

初回で確認したポイント(抜粋)

  • 材質(純チタン/チタン合金)と板厚
  • 形状(曲げ・R・角部)と溶接長さ
  • 外観要求(焼け色、ビード外観)
  • 漏れ・強度など機能要件の有無
  • 後工程(酸洗い、研磨、表面処理)の想定

この整理ができると、見積は「価格」ではなく“成立条件”の提示になります。
結果として、遠方でも判断が早くなり、初回の立ち上げがスムーズになります。


品質を安定させるために実施したこと(薄物チタンの実務ポイント)

薄物チタンは、現場では「段取りが品質の8割」になります。
当社では初回から、次の考え方で工程を組みました。

1) まず「歪み」を設計する(溶接順序・拘束の最適化)

  • いきなり本溶接に入らず、仮付け→対称配置→分割溶接で歪みを散らします
  • 薄板は一度歪むと戻りにくいため、治具の当て方と溶接順序が重要になります

2) 表面管理を徹底する(汚染の排除)

  • 指紋・油分は不良リスクになるため、前処理(脱脂)と取り扱いルールを固定化します
  • “毎回同じ品質”のために、作業者の感覚ではなく手順で管理します

3) 溶接条件を「再現できる形」に落とし込む

  • 設備・電流域・溶加材・タングステンなど、社内で再現可能な条件に統一します
  • 1回だけ成功する条件ではなく、年数回の発注でも再現できる条件に寄せます

「またお願いします」の一言が、技術者として一番うれしい

初回納品後にいただいた「またお願いします」の一言。
この言葉は、価格や納期よりも重い評価だと感じています。

それから5年。ご注文は年に数回のペースですが、今も変わらず続いています。
派手な数字ではありません。しかし、“難しい案件で継続する”ことこそが、信頼の証明になります。


遠方(千葉→京都)でも継続できた運用の工夫

距離があると、ミスが起きた時のリカバリーコストが跳ね上がります。
そのため当社では、「遠方前提」の運用を最初から組み込みます。

継続取引に効いたポイント

  • 仕様の言語化:外観・機能・許容範囲を先に合意します
  • 梱包・輸送の前提:薄物は変形しやすいので、梱包条件も品質の一部です
  • 再注文しやすい状態:案件情報を残し、次回の立ち上げを速くします

この積み重ねが、“細く、しかし長く”を支えています。


チタン薄物板金溶接の依頼前チェックリスト

外注を成功させるために、最低限ここだけは押さえてください。
流し読みでもOKなので、依頼前に確認いただくと話が早くなります。

  • 材質:純チタンか、合金か
  • 板厚:tいくつか(薄いほど難易度が上がります)
  • 要求:外観重視か、機能重視(漏れ・強度など)か
  • 図面:形状寸法、公差、溶接指示の有無
  • 数量:単発か、継続の見込みがあるか
  • 納期:希望と、調整余地の有無

「これ、揃ってない…」でも大丈夫です。
不足している情報を一緒に整理するのが、技術相談の価値になります。


まとめ|難しい案件ほど「条件整理」と「再現性」が結果を分けます

チタン薄物板金溶接は、単に“溶接ができる”会社を探すだけではうまくいきません。
歪み・汚染・条件再現を前提に、工程として品質を作れるかが勝負となります。

千葉の製造装置メーカー様、5年間のご信頼に心より感謝申し上げます。
これからも一件一件、技術者として誠実に、そして再現性のある品質でお応えしてまいります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. チタンの薄物板金でも溶接対応できますか?

はい、条件にもよりますが対応可能です。薄板は歪み・汚染の影響を受けやすいため、板厚、形状、溶接長さ、外観要求(焼け色・ビード外観)などを確認した上で、成立条件をご提案いたします。

Q2. 見積や可否判断に必要な情報は何ですか?

図面(または寸法スケッチ)、材質(純チタン/合金)、板厚、数量、外観要求、機能要件(漏れ・強度など)、希望納期があると判断が早くなります。情報が不足している場合でも、不明点を整理して「決める順番」を提示いたします。

Q3. 「他社で断られた」案件でも相談してよいですか?

はい、むしろそういった案件こそご相談ください。チタン薄物は、溶接条件だけでなく、治具・段取り・溶接順序・取り扱い(脱脂や汚染防止)まで含めた再現性が重要となります。状況を伺い、現実的な品質の着地点をご提案いたします。

Q4. 遠方(関東→京都)でも依頼できますか?

はい、可能です。遠方の場合は、輸送中の変形リスクも品質の一部になりますので、梱包条件や受け渡し方法も含めてご相談ください。年に数回の継続案件でも再現できるよう、案件情報を整理して運用いたします。

Q5. NDA(秘密保持契約)にも対応できますか?

はい、対応可能です。製造装置関連は守秘が前提となることが多いため、必要に応じてNDA締結後に詳細確認・技術検討へ進めます。安心してご相談ください。

「他社では断られた」「難しいとされている」――
そんな案件ほど、ぜひ当社にお任せください。
現場の課題を一緒に解決していきましょう。


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