【シビックタイプR補修事例】デフアウターケースのアルミ溶接|オイル付き鋳物部品も対応可
ものづくりだより511号
おはようございます。京都の溶接管理技術者、上村昌也です。
今回は、「デフアウターケースが割れてしまったので溶接してほしい」というお電話でのご相談をいただきました。
対象はシビックタイプRの部品で、アルミ鋳物+オイルが付着しているという、溶接には難しい条件が揃っていました。
【破損状態】割れたデフアウターケースの確認
お客様は事前に綺麗に洗浄してくださっていましたが、それでも鋳物の細部にはオイル分が残っていることが多く、注意が必要です。
今回は2つの部品に明確な割れが確認でき、再使用は危険な状態でした。
アルミ鋳物特有の割れ方が見られます。
デフアウターケースから外れた部品の破損状態。アルミ鋳物特有の割れ方が見られます。
【溶接対応】鋳物への気密溶接と電流調整
アルミ鋳物の溶接では、低電流で母材に優しい条件が求められます。
今回は以下の流れで対応しました:
- タック溶接にて位置決め
- リューターで開先形成
- 内側から気密性を意識して本溶接
【溶接完了】内外両面からの仕上がり
気密性を確保するため、内側からの丁寧な溶接に加え、外観も考慮して外側からも仕上げました。
内面から気密性を意識して丁寧に溶接。オイルの影響を避けつつしっかり強度を確保。
外観と機能性の両立を意識した外側溶接。鋳物の形状に合わせたビード形成。
【品質確認】浸透探傷試験による漏れチェック
補修後には浸透探傷試験(PT)を実施し、溶接部に亀裂や漏れがないかを確認。重要保安部品でも安心してお使いいただける品質を確保しました。
赤い浸透液を使って外面も細かくチェック。品質確保のための検査工程の一部です。
溶接の漏れやクラックを確認するための非破壊検査(PT)。色の付着で問題箇所を可視化。
補修後の最終仕上げ済み写真。機能性と気密性を兼ね備えた溶接が施されています。
【納品とまとめ】技術と信頼で応える補修対応
納期は「急がなくてよい」とのことでしたが、お預かりから1週間以内に納品。復元結果にもご満足いただけた様子で、私としても嬉しく思います。
よくあるご質問(FAQ)
Q:漏れない溶接はできますか?
A:はい、可能です。アルミ鋳物などオイル分が残る部品でも、前処理を徹底し、
低電流条件で母材に優しい溶接を行います。さらに浸透探傷試験(PT)で漏れを確認するため、
気密性が求められる部品も安心してご依頼いただけます。
Q:オイルが付いていても溶接できますか?
A:完全洗浄をお願いしていますが、鋳物部品はどうしても細部にオイルが残りやすい素材です。
その場合でも弊社では専用前処理と条件調整により、補修溶接が可能です。
ただし事前に洗浄いただくことで仕上がりがより安定します。
Q:納期はどれくらいかかりますか?
A:内容にもよりますが、今回の事例のようにお預かりから1週間以内で対応可能なケースが多いです。
急ぎの案件にもできる限り対応いたしますので、ご相談ください。
このように、鋳物・オイルが付着したアルミ部品でも、丁寧な前処理と技術で補修が可能です。
「鋳物のアルミ溶接は難しい」とお悩みの方へ。
気密性が求められる部品も、熟練技術で確実に補修いたします。
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