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航空機品質を支えるジュラルミン溶接技術|2000系アルミの難加工対応
2000系アルミニウム合金は、銅、マグネシウム、マンガンなどを添加した合金で、ジュラルミン、超ジュラルミンとして知られています。軽量かつ高強度であるため、航空機、宇宙機器、輸送機、精密機械部品など幅広い分野で使用されています。しかし、溶接施工においては、以下の点に注意が必要です。
溶接時の注意点
2000系合金は、溶接時にクラック(割れ)が入りやすいという特性があります。これは、高温割れ感受性が高く、凝固時に偏析しやすい元素を含むためです。そのため、適切な溶接条件の選定や、溶接材料の選択が重要となります。
溶加棒の選定
2000系合金の溶接には、A4043、A4145、A4045、A4047、A2319などの溶加棒が用いられます。
- A4043, A4045, A4145, A4047: これらの溶加棒は、シリコン(Si)の含有量によって区別されます(5%~13%)。一般的に入手しやすく、汎用的に使用されます。ただし、強度が必要な場合には不向きです。
- A2319: A2319は、高い強度を必要とする場合に推奨される溶加棒です。JIS Z 3604でも推奨されています。適切な温度管理のもとで使用することで、問題なく溶接が可能です。ただし、A2319は国内で製造されておらず、入手が困難な場合があります。かつては住友電工が製造していましたが、現在は製造ラインから消えています。
溶接方法
2000系合金の溶接には、TIG溶接(GTAW)やMIG溶接(GMAW)などが用いられます。TIG溶接は、精密な溶接に適しており、薄板や複雑な形状の溶接に用いられます。MIG溶接は、溶接速度が速く、厚板の溶接に適しています。
溶接条件
- 予熱: 溶接前に適切な温度まで母材を予熱することで、割れを抑制することができます。
- 溶接入熱: 溶接入熱を適切にコントロールすることで、溶接部の冷却速度を調整し、割れを防止することができます。
- 溶接速度: 溶接速度が速すぎると、溶融金属が十分に広がらず、割れの原因となることがあります。
- シールドガス: シールドガスには、アルゴンガスなどの不活性ガスを使用し、溶融金属を酸化から保護します。
その他
溶接前に、母材表面の酸化膜を除去することが重要です。溶接後、必要に応じて熱処理を行うことで、溶接部の強度を高めることができます。
参考文献
JIS Z 3604
溶接・接合技術
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最終更新:2025年6月28日