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株式会社上村製作所

〒614-8105
京都府八幡市川口擬宝珠9番地

TEL.075-982-2931

アーク溶接

溶接はもの作りの中で最も重要な基幹技術です。
ただ単についていれば良い!を卒業して、
今以上に溶接に興味を持てば 新聞や参考書、
ウェブサイトで情報が目に入りさらに探究心が
わいてきます。私は溶接の文字が有ればすぐに
目がいってしまいます。

建築家の安藤忠雄さんは、『好奇心の原点は感動と探究心。
好奇心が知識を得る力となり、知的財産の総量がまた
新たな好奇心を生む』と語っておられます。

できれば時間を取り溶接講習会等にも参加し資格に
チャレンジするのも良いでしょう。そうすればさらに、
日々の溶接作業を改善しステップアップして行く道を
たどると思います。今後は、常にPDCAサイクルに
あてはめ継続して改善していきましょう。
日々努力です。

ここでは、溶接学会や溶接工学夏期大学で学んだ事や
実際の溶接作業で解った情報を少しでも溶接に興味を
持って頂き、皆さまの参考に なれば嬉しいことです。
しかし技術を人に伝えるのは難しいことです。
技術が陳腐化しないよう 自己研鑚してまいります。
但し内容には実際の施工とのギャップがあるやもしれません。
あくまでも参考として参照してください。
少しずつアップロードします。

アルミ溶接
アルミニウム及びアルミニウム合金
アルミニウム及びアルミニウム合金と特性

アルミニウム及びアルミニウム合金は軽量でさびにくい
特徴を生かし鉄道車両、船舶、低温タンクなどの構造物
に広く用いられている。
純アルミニウムに他の元素を添加すると強度が増すと
同時に、加工性、溶接性耐食性などが変化していく。
アルミニウム合金展伸材には非熱処理合金と熱処理合金に
分けられさらに添加元素により材種分類が行われている。
非熱処理合金は焼きなまし軟質材(O材)または適当な
加工硬化の状態(H材)で使用され熱処理合金は焼き入れ(T4)
または焼き入れ焼き戻し(T6)など適当な熱処理状態で
使用される。これらの調質処理はJIS規格(JIS H 4000)
に定められた識別記号で表記される。

アルミニウム及びアルミニウム合金の溶接性
高温割れ 

アルミニウム及びアルミニウム合金の高温割れには
凝固割れと液化割れがある。
ともにデンドライト樹間や結晶粒界における合金元素
の偏析、または低融点金属化合物の存在に起因する。
液化割れは多層溶接時、次層の溶接熱により前層の粒界が
局部的に溶融しそのときの応力やひずみとの関係で割れが
発生する。アルミニウムの熱膨張係数、凝固収縮が
大きいことが高温割れに大きく影響している。
ビートの始終端でとくに割れが発生しやすいので施工時に
注意を要する。

1000,3000,4000,5000シリーズはいずれも割れは発生しに
くく溶接性は良好。
2000,6000,7000シリーズは溶接割れが生じやすい。
割れ感受性を改善することは可能。
添加剤としては一般に溶接割れに対しては母材より添加元素の
多いものを用いる。

ブローホール
アルミニウム溶接金属には気孔が発生しやすく、溶接施工上の
大きな問題となっている。
その主たる原因は水素であるが、水素に起因してブローホールが
生じやすいのは、アルミニウム中の水素の溶解度が凝固時に1/20
に激減することによる。また凝固速度が比較的大きく、
生じたブローホールの放出が妨げることになる。
水素源としては次のようなものがある。

母材及び溶加材中の固溶水素
母材及び溶加材表面に付着または吸着した水分、有機物、酸化膜
シールドガス中の水分アーク雰囲気中に巻きこまれた空気中の水分
このうちもっとも寄与率の高いのは空気の巻き込みで、
次いで溶加材表面の水分である。
(溶接•接合技術持論より抜粋)

アルミニウム及びアルミニウム合金の溶接材料
1000シリーズ
一般に純アルミと呼ばれる材料で溶接材料としてはA1070,
A1100などが用いられる。
溶接施工時の注意点としては熱伝導性が優れるため他の
種類の材料よりも若干低めの電流値で施工するのがポイント。
陽極酸化皮膜処理(アルマイト)をすると非常にきれいに仕上がる。

2000シリーズ
銅のほかマグネシウムやマンガンなどを含む合金。ジュラルミン、
超ジュラルミンと呼ばれている。
溶接施工時はクラックが入りやすいので注意が必要です。
また溶加棒の選定ではA4043,A4145,A4045,A4047,A2319
などがあげられます。4043,4045,4145,4047の違いはシリコン
の含有量により識別されています。(5%~13%)
これらの溶接材料は市場での調達が困難で一般的に流通している
のはA4043でしょうか。ついてればOK状態なら使われて
いるそうです。しかし強度が必要な場合はA2319を用います。
JIS Z 3604 でも推奨しています。温度管理をしっかりとし
A2319を用いると問題なく溶接ができます。

3000シリーズ 
非熱処理合金で純アルミよりやや強く溶接性がよい。
溶接材料にはA5356,A4943を用い用途により
A4047Aを用いる。

5000シリーズ
5052が代表的な合金で中程度の強度をもち最も広く使われている。
5083はMg含有量が多い合金で非熱処理合金としては最も優れた
強度を持ち溶接性も良好である。
同業者が船のデッキによく使われているといっていました。
溶接材料にはA5356,A5183などがあげられます。
JIS Z 3811アルミ溶接技能検定には母材に5083、溶接材料には、
A5183で検定試験が行われています。

6000シリーズ
熱処理合金で押し出し材、形材などに使われていて強度もある。
6063などがアングルやチャンネルなど構造物に使われている。
溶接材料にはA5356を用いる。

7000シリーズ
アルミニウム合金中最も高い強度を持つ亜鉛系合金とCuを
含まない溶接構造用合金に分かれる。熱処理合金としては
優れた継手効率が得られる7N01,7003が溶接構造用材料
として鉄道車両、オートバイフレームに用いられる。
溶接材料としてはA5356,A5183を使用する。

以上、溶接材料の選択にはJIS Z 3604に示されている表を
用いて組み合わせを適用しましょう。
組み合わせを間違えると溶接部の割れが発生したり機械的強さが
目標通りに出なかったり耐食性に劣るので注意が必要である。

アルミニウム合金溶接施工法
溶接施工にあたってはより良い溶接結果を得られるために、
SS,SUS以上に注意点がある。
ここではTig溶接を例にピックアップしてみました。

•材料、識別などを明確に理解し適正な溶接材料を適用する。

•乾燥したきれいな材料を用いる。

•適正に保管された溶接材料を用いる。

•シールドガスが阻害されないよう注意をすること。

•母材の継手部分を洗浄すること。
ステンレス製ブラシで強くこすり表面の酸化皮膜をめくること。
アセトンやアルコールで継手部を拭くこと。

これだけのことでも良好な溶接品質に施工できます。
後は作業環境をきれいにし丁寧に溶接すれば
良好な結果が得られると思いますよ。

ブローホール対策その2
アルミ溶接の際のブローホールでいつも悩まされていましたが、
最近パージホースをガスライン用とトーチインナー用に
交換すればかなりの効果で溶接欠陥の低減が見込める事が
立証出来ている見たいです。弊社もガスライン用を
交換しましたがトーチインナー用が交換出来ていない状況です。
近日中に交換予定です。 うまく行けば、溶接補修も減り
不適合品の流出を減らせるので良いと思います。

ステンレス鋼 ステンレス鋼溶接

特性として、一般的にさびにくい材料と知れ渡っています。
また耐食性、耐酸性、機械的強度などがあげられます。
耐久消費財には無くてはならない材料ですね。
用途として、食品関係の設備、食器、厨房機器、製薬、医療器具、
建築物、プラント関係使用範囲はたくさんあります。

ステンレス鋼にはSUS304と呼ばれる代表的な規格があり
ステンレス鋼中65%使用されています。
化学成分と金属組織上の分類から下記の種類があります。

マルテンサイト系ステンレス鋼
Feに約13%Crを含有させた13Crステンレス鋼
SUS403,410,410S,420J1,420J2,431,などがあります。
SUS431,440A,440B,440C 416 など機械構造用鋼と同様に
焼き入れにより硬化し高硬度、高強度の使用目的にしたもの
が多いです。また溶接性は悪いです。

フェライト系ステンレス鋼
Crを16~18%含有するSUS429,SUS430などがあります。
耐食性や、高温での耐酸化性を目的としたステンレス鋼。
建築内装用、家庭用器具、家電部品など使用されています。
溶接割れを起こす欠点があります。

オーステナイト系ステンレス鋼
18Cr8Niを含んだ代表的なSUS304があります。俗に
ステンレスと言ったらこの規格になるほど、一般的であります。
使用用途として食器、建築金物、配管など使用用途は
たくさんあります。

オーステナイト系ステンレス鋼の溶接性
炭素鋼のように比較的容易に溶接を行うことができます。
しかし溶接時に高温割れ(凝固割れ)や腐食環境によっては
粒界腐食、応力腐食割れ(SCC)などが発生します。

(1)高温割れ
オーステナイト系ステンレス鋼の溶接時に発生する割れに
多いのが高温割れ(凝固割れ)である。 原因として考えられる
のが溶接収縮歪みが発生するからである。
割れの形態として縦割れやクレータ割れなどである。
溶接金属の高温割れに及ぼす溶接金属中の(Pリン+S硫黄)量と
フェライト量のとの関係があり(P+S)量の増加とともに
高温割れ感受性は高くなるがフェライト量が多くなると
高温割れは発生しなくなる。
オーステナイト系ステンレス鋼溶接金属の凝固割れ感受性は、
フェライト量と密接な関係があるみたいです。

(2)腐食
一般的にはステンレスは腐食しにくいと認識があるみたいですが、
それには訳があるのですね。
約12%以上Crを含むステンレス鋼は腐食環境下で優れた
耐食性を示す。
これはCrが腐食環境下で酸化しさらに水と反応して緻密な
水酸基皮膜を形成することで、それ以上の腐食の進行を阻止
するためである。
この膜は不動態皮膜と呼ばれステンレス鋼の耐食性の
根元となっている。

(3)応力腐食割れ(SCC)
応力腐食割れには次の3つの条件が満たされた
場合に生じる現象である。

材料(鋭敏化、不純物等)

環境(温度、塩化物等)

応力(残留応力、外部応力等)

応力腐食割れの分別としましてはアノード溶解によって
割れが進行する活性溶解型(APC)と腐食反応に
よって生じた水素が支配要因となる水素脆化型(HE)に大別される。
なお狭義の応力腐食割れは活性溶解型のみを指す。

(4)熱影響部の鋭敏化


溶接熱影響部は1000℃以上に加熱された溶体化部と
500~850℃程度に加熱された炭化物析出部に
分けられます。炭化物析出部では、オーステナイト粒界に
Cr炭化物が析出し、粒界近傍のCr固溶濃度が低下するため、
粒界腐食をおこしやすくなる。
このようにCr炭化物が析出し、粒界腐食感受性が
増す現象を鋭敏化という。腐食環境中では、この部分に
ウエルドディケイと呼ばれる溝状腐食を生ずることがある。

鋭敏化を防止策
①溶接方法ならびに溶接条件の適正な選定により
溶接入熱を小さくするか、あるいは水冷しながら溶接し
Cr炭化物が析出しやすい鋭敏化温度域(500~850℃)
の冷却速度を速くする。

②0.03%C以下の低炭素ステンレス鋼
(SUS304L、SUS316Lなど)を使用する。

③Ti、Nbなどを添加した安定化ステンレス鋼
(SUS321、SUS347)を使用する。

④粒界析出を起こした材料は溶接後、炭化物を固溶させるため
固溶化処理(1000~1100℃加熱後急冷)を施す。

溶接分類

代表的なオーステナイト系ステンレス鋼SUS304を取り上げます。
溶接法の分類としましては、GTAW(ティグ溶接)、
GMAW(マグ溶接、ミグ溶接)ロー付け、はんだ付け、
スポット溶接、YAGレーザ溶接があります。

Tig溶接
溶接性は非常によくティグ溶接の場合精度よく高品質な接合部を
成形できるアーク溶接です。とくに溶接部の美観が必要とされる
ステンレス製品が多く、ティグ溶接なら高品質な溶接が可能です。
しかしながら欠点として溶接速度が遅く、溶け込みが浅い等の
欠点もある。当然溶接速度が遅いと溶接入熱が多くなり、溶接
変形などの問題も生じる。

裏波溶接(Tig溶接)
ティグ溶接の裏波を出す場合はアルゴンガスにてバックシールド
をしなければなりません。バックシールドを施さないと酸化に
より不完全なビートが出来ます。バックシールドガスを流すこと
によって健全なビートが形成されます。バックシールドガスの
雰囲気中の酸素濃度の影響としましては1.0%以下が良いとされて
います。酸素濃度が約2%以上になると裏波ビートが酸化により
不健全になります。1.0%以下であればレントゲンも通すことが
可能です。

薄板の歪み防止策としましては(Tig溶接場合)

・銅板等でバッキングをする
・溶接近傍を冷却する
・高速パルスを利用する
・水素含有のシールドガスを使用し溶接速度を速める

最近ではステンレス鋼の深溶け込み溶接法として2重シールド
トーチを採用して外側に特殊酸化性ガス内側に不活性ガスを
使用したAA-TIG溶接法も実用化されている。弊社としましても
非常に採用したい技術である為、溶接学会等での情報を精査中で
ある。

『参考文献』 溶接・接合技術持論 ステンレス鋼溶接トラブル事例集

手加工品
単品少量生産が主体です。技術力が必要な
手加工品の製作が得意です。弊社は板金加工屋ですが
溶接を主体とした板金加工が主力作業です。
世間ではめんどくさい仕事と言われている物が
たくさんあります。永続的なお付合いをできることを
念頭に、お客様の問題を解決出来るように
コンサルティング機能をご提案出来る板金屋です。